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2014.2.14 「おけけが語る」
おけけ

雪女をめぐる考察


雪女
東京では今年、記録的な雪が降った。
交通は乱れ、帰宅できない人々、滑ってケガをする人が続出だった。

深夜。雪は恐ろしい程に白く、街は夜になっても不思議な明るさに包まれていた。
走っている車は無く、不思議な程無音に包まれた街を歩いていた。
青梅の街の積雪は50センチ以上に達し(8日。14から15日に降った積雪は70センチ以上に達した)、足を一歩進めるのにも難儀する始末。だが、特に急ぐ必要はあるまい。
歩く毎にギュッギュッと立てる足音に耳を澄ませながら、ただひたすら歩いた。

俺はある女の事を考えていた。雪女だ。
会った事も無い女だが、つい100年ぐらい前までは彼女の気配をよく感じていた。
「いつか会うだろう」と思い、自分から会いに行く事はなかったのだが、ふと気付いた時には彼女の気配はどこかへ去ってしまっていた。

俺はいつか彼女に会い、彼女の純白の衣に俺の毛を付けてみたかった(オケケの毛は、抜けるとカールし陰毛状になります)
それは恋心に近い切望となっていた。
だが、彼女はいなくなってしまったのだ。

しかし、100年経った今。彼女がなんでここ青梅に戻って来たのだろう?
そんなはずはない。だが会えるなら会ってみたい気もする。会ったら殺されるのだろうか?殺される前に、毛を付けられるだろうか?

雪女の伝説には諸説ある。

岩手県や宮城県の伝承では、雪女は人間の精気を奪うとされ、新潟県では子供の生き肝を抜き取る、人間を凍死させるなどといわれる。

秋田県西馬音内では、雪女の顔を見たり言葉を交わしたりすると食い殺されるという。

茨城県や福島県磐城地方では、雪女の呼びかけに対して返事をしないと谷底へ突き落とされるという

む。無茶苦茶じゃないか。
一流の妖怪にはこのように数々の逸話が生まれ、広がって行く。だが、実際のところは誰にもわからない。

俺にはまだそんな逸話が生まれていない。
もし俺が人から噂されるとしたら、どんな噂になるのだろうか?
たぶん、毛の事しか言われないだろう。
俺はそんな事を考えながら一晩歩いた。

翌日、よく晴れていた。
太陽の光は雪を反射してキラキラと輝いていた。
平原を200メートル程進むと、ある光景に出会った。

雪女に殺されたのか

平原に無惨に横たわる人跡。三体もある。
まさか。雪女の仕業だろうか?俺にはわからない。
一瞬の事だったのだろう。苦しんではいないだろうことは、雰囲気でわかった。むしろ少し楽しそうにも見える。

今回も雪女に会うには至らなかった。またもや彼女は気配だけを残し、姿を見せなかった。
だが、俺は彼女が俺に何かメッセージを残している事は感じていた。俺が彼女を求めるように、彼女も俺を求めているのだ。
俺はこの先、どれくらいかかるかわからないが、必ず彼女を探し出す事を誓った。

しかし、まずはこの3人の供養をしなくてはならない。
俺は、せめてもの手向けに、3人それぞれの為に毛を抜いた。
毛は音も立てず身を震わせ、それぞれの下腹部のあたりに落ちると、静かにカールした。

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