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2014.4.11 「おけけが語る」
おけけ

【ハードボイルドシリーズ第一弾】序章〜森にて〜


青梅の森
普段、俺は妖怪ハイムに暮らしている。
そこには、どんぶら〜やこっこーと言った愉快な奴らも暮らしている。
そこで暮らしている限り、映画や本、食べ物に至るまで、話題には事欠かない。
しかし、俺はどんぶら〜やこっこー程、話し好きという訳ではない。
 
時には一人でいたくなる。そんな時には、俺は一人で森に入る。
森の静けさはいつも俺を静かに迎え入れてくれる。
動物達は俺の存在に気付いても、騒ぐ事は無い。
 
俺はいつもよりリラックスして、土や木々の香りを嗅ぎ、神経を鎮める。
しかし、忘れてはいけない。
ここも全くの安全という訳ではないのだ。
 
山も今や人間の所有物だ。奴らは「自分たちの土地」だと言う。
動物達が守って来た山を、不自然な伐採や植林で壊しているのにも関わらずだ。
しかし、今はそんな事はどうでもいい。
とにかく、油断してはいけないという事だ。
 
しかし、ついつい自然の開放感からか油断してしまう事がある。
 
 
俺はその日、山でくつろいでいた。
4月の山の朝、薄い霧に包まれていた。気温は3℃前後。少々肌寒い。
木々は春の朝の訪れを喜び、地表には明るい黄緑色が枯れ葉の間から顔を出している。
空は薄曇りで、今にも雨が降り出しそうだった。
時折強い風が木々の間を通り過ぎて行く。
 
その風に乗って、人の臭いがした。15人。いや、20人はいる。
登山者だろうか?しかし、人数が多すぎる。そして、その隊列は規則的に等間隔に広がって歩いている。
それはまるで、訓練された軍隊のような雰囲気がする。
素人が登るには険しい山道だが、息も上がっていない。
 
嫌な予感がした。
俺はすぐさま、正体を見極める為に動き始めた。
風向きに注意しながら、距離を詰めた。
20mの距離まで近づくと、次第に奴らの声が聞こえた。
 
隊員A:いないな。情報は確かなのか?
隊員B:はい。確かな情報です。きっとこの辺にいるはずですが
隊員A:しかし、あんたの会社も必死だな。妖怪を捕まえてまで、増毛材の研究を進めたいなんて
隊員B:はい。今我が社はライバルに押されて、経営も圧迫されてると聞きますし。
 
なんと言う事だ。俺は尾けられていたのだ。
話からわかったのは、薄毛対策の薬を作る会社が、俺の毛髪目当てにハンターを雇ったらしい。
大方、俺を捕まえて実験台に乗せるつもりだろう。
 
薄毛会社の社員が2人に18人の雇われハンターと言った所か。
装備は手薄だった。ナイフは全員が装備している。
虫取り網と縄を持っている人間が数名。
ライフルと散弾銃を装備している人間が5人いるが、熊に出会った時の為のものだろう。
しかし、虫取り網とは、一体俺をなんだと思っているのだ。
 
一番やっかいなのが犬だ。3匹連れている。
これ以上距離を詰められると危ない。
俺は風向きを読みながら、少しずつ距離を広げて行った。
 
人間達との距離を200mまで離した所で、山の頂上の広場に着いた。
その時に、頂上から吹き下ろす風が吹いた。犬が匂いに反応した。
 
やれやれ。
どうやら戦うしかなさそうだ。
 

【ハードボイルドシリーズ第ニ弾】怒りの脱出は、4/12午前零時に公開!震えて待て!!!

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